NHAについての学術研究

ラットガーズ大学研究結果

ニュージャージー州でNHAを取り入れた結果どのような変化があったのか?

  • 871%の増加(2000年~2019年の間)

地域に根ざしたケアマネジメント、家庭内ケア、デイ・トリートメント・プログラムを通じて支援を受けた子どもの数が増加。

  • Promising Path to Success (PPS)

暴力、トラウマ、隔離や抑制の使用を防ぐために設計されたプログラム。
PPSは、6つのコア戦略(6CS)とNurtured Heart Approach(NHA)を基盤とした、州全体で実施されるトラウマインフォームド・アプローチであり、成功を促進するために設計されています。

 

<結果>

16%
➡PPSを受けた子どもたちの精神科入院が16%減少

24%
➡入院治療の件数が24%減少

40%
➡施設外治療(OOH)開始から2年後、PPSを受けた子どもたちは、受けていない子どもと比較して抗精神病薬の処方が40%減少

 

ニューメキシコ州立大学 研究結果

インナーウェルス・インベントリー(IWI)

<定義>
インナーウェルス・インベントリー(IWI)は、内なる豊かさ(Inner Wealth)を測定するためのウェルネス重視のスクリーニングツールです。内なる豊かさとは、内面の充実や自己の力を強化することに焦点を当てた、強みを基盤とする概念です。

<結果>
内なる豊かさのレベルが高いほど、 不安や抑うつのレベルが低い傾向があることが、統計的に有意な水準で確認されました。(米国成人の全国サンプルを対象とした調査結果)

 

Nurtured Heart Approach(NHA)が主流に:研究と経験が「すべての子どもの素晴らしさを称える」ことを支持(Mad in America より

Nurtured Heart Approach(NHA)は、教育、子どもたちの育て方、強い感受性を持つ人々の見方、そして彼らを病理化する医療モデルについての考え方において、大きな変革をもたらしている。

エイミー・ビアンコリ著 – 2022年11月12日

Mad in America SCIENCE, PSYCHIATRY AND SOCIAL JUSTICEの記事↓
https://www.madinamerica.com/2022/11/nurtured-heart-approach-2/

※Mad in America …精神医学研究のニュース、オリジナルのジャーナリズム記事を発信している。

★上記の記事の内容について、以下抜粋。

 

【Nurtured Heart Approach(NHA)は効果があるのか? 研究と経験が示すその実力】

このすべてが、ある明白な疑問を呼び起こす――「Nurtured Heart Approach(NHA)は本当に効果があるのか?」 ニューメキシコ州立大学、アリゾナ大学、ラトガース大学(ニュージャージー州DREAMSプロジェクトの協力機関)で研究が進められている。しかし、これまでのデータによれば、その答えは「イエス」だ。NHAは家庭で機能し、学校でも機能している。

 

まずは家庭での効果について

2020年4月の『Ethical Human Psychology and Psychiatry』誌に掲載された論文「The Online Nurtured Heart Approach to Parenting: A Randomized Study to Improve ADHD Behaviors in Children Ages 6–8(Nurtured Heart Approach(NHA)によるオンライン子育て:6〜8歳のADHD行動を改善するためのランダム化研究)」では、著者の一人であるグラッサーらが、NHAのオンライントレーニングを6週間受講した親の子どもたちが、対照群と比べて多動性や衝動性が低下したことを発見した。そして、「この研究は、ADHD関連行動の改善におけるNHAの可能性を示す予備的データを提供する」と結論付けた。

さらに、臨床的な意義について、「NHAは子どもに直接アプローチする治療ではなく、親をトレーニングすることで改善が見られた。この方法は家庭全体に広がる可能性があり、他の子どもたちにも良い影響を与える可能性がある」と述べている。

過去のNHAに関する研究も「限られてはいるが、有望な結果を示している」と研究者たちは述べている。例えば、1997年の研究では、NHA介入を受けた母親たちが育児スキルの向上とストレスや抑うつの軽減を報告しており、その子どもたちも行動の改善と不安の軽減が見られた。

また、2015年の研究では、NHAの講座を受講した326人の親と、受講していない94人の親を比較し、前者の親たちは子どもに対するポジティブな注目が増え、怒鳴る回数や叱る頻度が減少したと報告された。

2018年には、サラ・E・ロスがNHAを受講した219人の親と、対照群の100人の親を対象に二次データ分析を行い、NHAグループの親たちは自信の向上と、子どもの強みをより肯定的に捉える傾向があることを発見した。彼女は次のように述べている。

 

「NHAは、親にとって有望な介入方法である。…NHAのような子育てプログラムは重要であり、なぜなら予防こそが鍵だからだ。親がNHAプログラムに基づくポジティブな子育てを学び、自信を持って効果的に子育てできる機会がより多く提供されるべきである。このアプローチは、親子関係においてネガティブな対応に頼るのではなく、ポジティブな関係を最優先にすることを可能にする。」

 

学校での効果について

グラッサーは『The Inner Wealth Initiative』の序文で、NHAを初めて導入した学校であるアリゾナ州ツーソンのトルソン小学校について記している。この学校は、貧困層や恵まれない環境にある生徒が多く、NHA導入前は60校の学区の中で最も停学率が高かった。教師の離職率は年間50%以上であり、特別支援教育を受ける生徒は15%を占めていた。しかし、NHAを導入した後、その割合は2%未満にまで減少した。

本書の序章では、NHA導入後の学校の変化についてさらに詳しく説明している。

 

  • NHAが学校の教室に統合されて以来、トルソン小学校では停学処分を受けた生徒は1人だけ
  • 少年司法制度への報告件数はゼロ
  • いじめの報告もゼロ
  • 特別支援教育への紹介数が大幅に減少
  • ADHD評価のための紹介はゼロ
  • ADHDの新たな薬物治療を受けた生徒もゼロ
  • 教師の離職率も大幅に低下
  • 標準テストのスコアが劇的に上昇

 

もちろん、これは一つの学校の例にすぎない。しかし、それが最初の成功例だった。そしてその後の数年間で、NHAはさまざまな学校や環境で採用され、ニュージャージー州のDREAMSプログラムの試験的な取り組みにも組み込まれた。

NHAが導入された学校の様子を紹介するビデオでは、教師たちがNHAの生徒や自身への影響について語り、生徒たちがNHAプロジェクトに取り組む姿が映し出されている。そこでは、子どもたちが自分や他人の素晴らしさを認識するための活動が行われていた。教室の壁にはポジティブなメッセージが書かれた掲示板があり、子どもたちは自己肯定の言葉を添えた絵を描いていた。

ニュージャージー・グローバル・チャータースクールのソーシャルワーカー、カルロス・ナヴァスは、ビデオの中でこう語っている。

「誰でも、コミュニティの中でポジティブなことをすることができます。そうすると、誰かがそれを認めてくれるのです。『わあ、君の行動は素晴らしいね。ちょっとみんな、今やっていることをやめて、この人の素晴らしい行動に拍手を送ろう!』というように。」

彼は続けて言う。これは生徒たちだけでなく、親たちにも必要なものだと。そして、すべての人が、良いことがあったときの承認と、うまくいかなかったときのリセットを必要としているのだと。

「私たちは皆、人生のどこかで新たなスタートを必要とする時がある。そして生徒たちも同じだ。彼らはもしかすると、一日に5回も新たなスタートを必要とするかもしれない。」

 

アリゾナ州立大学の研究結果

アメリカ・州立アリゾナ大学公衆衛生学科健康促進科学部のVelia Leybas Nuño教授らの研究(2018)により、NHAがADHDの症状を軽減させる効果があることが立証されています。

研究の概要

研究目的「NHAは、子どものADHDの症状を軽減することができるか」
研究結果NHAを親が学ぶことにより、子どもの多動性、不注意、衝動性において顕著な症状の減少が見られた。」

研究方法:
・ADHDと診断された、またはその疑いの強い、6歳から8歳の子どもが対象。全米から抽出された104人を対象に検証。
・NHAの6週間のオンラインコースを、親に受けてもらう。
・すべての参加者に3種類の調査に答えてもらう。